歌に自信が持てないのはなぜ?

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みなさんこんにちは。
アン ヴォーカル・ピアノスクール、ボイストレーナーのJunです。


皆さんは、歌手がライブで楽しそうに歌っている姿に元気を貰ったり、魂の叫びが伝わってくる歌に心から感動した、そんな経験ありますよね。

私も何度もあります。

彼等と自分は何が違うんだろうか。
自分もそんな風に歌えたらな…

歌を本気で上手く歌えるようになりたいと思っている人の中には、そんな風に考えた事がある人もいると思います。

歌唱力や努力のしかたが違うから?
センスや才能があるから?
容姿がカッコいいから?

実は、これらのどれも大切な要素です。

私の日頃のレッスンでも、生徒の皆さんは歌唱力を上げるためにレッスンに来られているのでもっとも時間をかけているのは発声の基礎や歌い方などの基本です

しかし、それらがある程度の形になってきているはずなのに、イマイチしっくり来ない。


そんな時、ひとつ忘れている事、というより、あまり掘り下げられていない領域があります。

それはテクニックとメンタルの関係です。

今回はその事について掘り下げてみたいと思います。

そもそも誰のために歌うの?

人が歌いたいと思うのは、なぜなのでしょうか。

街を歩いてる時、家でリラックスして過ごしてる時、つい鼻歌が出る。
そんな時、うまく歌えてるかどうか考えているでしょうか。

考えているとしたら、それは重症です。
残念ながら私は考えることがあります(笑)


「気分が良いから今から鼻歌を歌おう。
よし、フォームを整えて良いポジションにして…」
なんてもし考えてたら…

想像しただけでちょっとおかしな話しですよね。


思わず口をついて出てくる鼻歌で緊張する人はいないでしょう。
なぜなら誰かのために歌っていないのですから。
自分のために歌っているのですから!

「自分のために歌うとはいったいどいう事か」

それは歌う行為には自己治癒力(自分で自分を癒す力)がそなわっているからです。

自分で自分に歌って自分を癒す。

だから自分のために歌う。

そしてとても残念なお知らせとしては、
『無意識で口をついて歌っている時』の歌は
案外良い声だったりするのですね。

じゃ、ボイトレの意味がないじゃないか。
そんな声が聞こえてきそうですが…

しかしです。

ボイトレできちんとレッスンを受けているのに、今一歩という方にとっては、そこに気づく事がボイトレをよりよい形で受けていく上で大切になるかもしれません。

人前で歌う時に自信が持てない原因は?

話を少し変えてみたいと思います。

みなさんは、街中でこのポスターを見たことはありますか?

これは、犯罪抑止のポスターですね。
このポスターのデザイン、目力が凄くて、見られているという圧を物凄く感じます。

見らてれている、という事と、犯罪抑止と、どのような関係があるのでしょうか。

それは、『恥ずかしい行為を見られている』

という心理が働く事で犯罪を抑える効果を狙っているからだと思います。

犯罪=恥ずかしい事
と捉える感覚が、日本人に備わっている事を端的に表しているポスターともいえます。


この事について、ルース•ベネディクトというアメリカ人が書いた『菊と刀』という本の中で、日本人特有のメンタリティについて興味深い事が書かれているので紹介したいと思います。

”人類学の研究においては、二種類の文化を区別することが重要である。
一方は、恥を強力な支えとしている文化。
他方は、罪を強力な支えとしている文化である。〟(ベネディクト著 『菊と刀』より)

”恥は周囲の人々の批判に対する反応である。人前で嘲笑されたり拒絶されたりするか、そうでなければ、嘲笑されたと思い込むことが恥の原因となる。いずれの場合も、恥は強力な強制力となる。しかしそれが作動するためには、見られている事が必要である。あるいは、少なくとも見られているという思い込みが必要である。〟(同様)

なんだか、少し小難しい話になってしまいましたね…

ざっくり言うと

『知らない事、できない事は恥ずかしい事。』という意識が私たちの心には根強くある、
という事です。

つまり、私たちは無意識のレベルで『恥知らず』という日本人の美徳に心がとらわれ、それが歌う上で心にブレーキをかけてしまっている可能性があるという事です。

自分を出すことの大切さ

歌う事は恥ずかしい行為であるといえます。

もちろん感じ方は人それぞれですが…
それは服を脱いでいく行為にも似ています。


では、想像してみてください。

舞台上で生き生きとパフォーマンスしている、アーティストたちの姿を。

時に彼等は、聴き手に対して自分の弱みをさらけ出し、心の中をすべて見せるように歌を歌う。

そして、聴き手はそこに触れているような親密な感覚になる。

しかも、私たちはそこにこそ深い感動をすると思いませんか。


この事からも、私たちは上達していく過程で、発声をより良くしていく努力と同じぐらい、服を1枚1枚脱いでいくように、少しずつでも自分の弱みを見せていくように心を解放していく事が鍵になっていきます。

自分の思い描く、完璧なテクニックでなければ恥ずかしい。

そこに心がとらわれて身体が窮屈になってしまえば、せっかくのテクニックも人前では今ひとつ活かしきれないかもしれません。

弱みをさらけ出していくように心を解放し続けていく事は、人前において身体や声に自由を与え、行きつくところ、それが他の誰でもないオンリーワンの魅力にもなります。

そうすると何より歌っている事自体がワクワクして楽しくてしかたありません。

楽しくなると相乗効果で、テクニックだって上達しやすくなるはずです。

mustからwantへ

歌を上達させていく過程ではテクニックの様々な課題があります。

それを克服するために色々な曲に取り組みますよね。

先ほど、鼻歌の話の中で『無意識でつい出てくる感じで歌っている時』良い声だったりする、と書きましたが、より積極的な気持ちで解放していく事が望ましいです。


例えば、電車で座っていて、身体の不自由な方が乗ってきたとします。

その時、『席を譲るべき』と思うのか『席を譲ってあげたい』と思うのか、同じ行為でも心持ちが変わってきますよね。


同じように、歌でも課題克服のために、〜するべき(must)と思いながら義務感で取り組むよりも、
この曲歌っていると楽しいし好きだから歌いたい(want)という心持ちでは、
wantの方が、音楽に心を開き身を委ねるようになる分、身体にも良い影響を与えます。


ここは、読んでいて疑問に思う方もいるかもしれません。
矛盾が生まれる難しい部分です。
永遠の課題かもしれません。


ここまでの話だと『好きな歌を好きなように歌えば上手くなるの?』と思ってしまいますよね。

ここが問題です。

理想は、テクニックの練習であっても、「この練習をすれば私はこんな風に歌えるようになるんだ!」という理想のイメージを持って心を開いていく事です。


私のレッスンでは発声の基礎練習も、その目的がわかるように伝える事を心がけています。

この点、レッスンや練習においては、テクニックの柱とメンタルの柱の2つがあると思っておくと良いかもしれません。
どちらも大事です。

今回はメンタルの面にスポットを当てて書いていますが、テクニックの面についても今後書いていく予定です。

身体の力の抜いて歌う

ここまで読んで下さっている方は、歌う事に熱心な気持ちを持っていると思います。

熱心に一生懸命に取り組むということについても、歌う上ではどう捉えるかが大切です。

一生懸命になり、集中力が高まる時、日本人は緊張感も高まります。

古典芸能である能の仕舞(踊り)などをイメージしてみてください。
静かな所作の中に緊張感がありますよね。

欧米人はどうでしょうか。
彼らは集中力が高まった時、エネルギーを解放します。

歌う時においては、集中力が高まった時に、緊張感が高まるよりも発散させる感覚、解放されていく方が良い効果を生みます。

解放させる事は声の既定を外す恐怖があるかもしれませんが、歌うための身体の枠を保ちながらリラックスさせていく事ができます。

歌うために身体の力を抜くというのは、眠りにつく時のようなリラックスした感覚」よりも、「良い景色を観ながら、散歩をしているときのような心地よい緊張感の感覚」に近いといえます。

技術とメンタルの関係性

歌の上達のためには、テクニックという構えが必要な事に間違いありません。

しかし、「その構えがないと絶対に歌えないという風に囚われてしまう事で、身体が不自由になってしまっては本末転倒」と思っておく気持ちがとても大切ですね。

音楽に自然に心を開いて身を委ねていく。

それは、いつでもどこでも歌う事が日常的である感覚とも、表裏一体です。

そんな風に心を整えていくと、身体が自然と緩んでいき、思った通りに身体が動く事も実感できると思います。

『Play music』といいますが、Playの中には「遊び」という意味が含まれますね。

歌のスキルをUPして、音楽で最高に贅沢な遊びをしたいですね!

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この記事を書いた講師の紹介

ボイストレーナー:Jun
 
東邦音楽大学音楽学部音楽学科声楽専攻卒業
在学中、オペラ『魔笛』パパゲーノ役でオペラの初舞台を踏み、その後オペラ『夕鶴』運ず役、『月の世界』エルネスト役などを演じる。
これまでに様々なアーティスト等と舞台を共にしている。また、放送作品の劇伴などのレコーディング等にも数多く参加している。
演奏活動と並行して、指導にも力を入れてきており、音楽教室でのボーカルレッスンを始め、音大入試指導、オーディションの歌唱指導などの指導経験も持つ。
主にポップス、ミュージカル、声楽を老若男女問わず指導してきた経験から、一人一人に合ったきめ細やかな指導を行っている。
現在、都内私立高校音楽科講師も務める。
 
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