
こんにちは、アンヴォ―カル・ピアノスクールの浅井のぞみです。
先月の入院以来、持病を抱えながらの活動になるため、今までより活動を制限をしないとならなくなってしまったため、しばらくは新しい生徒さんの受け入れは停止させていただきます。
その代わり、何かみなさんのお役に立てることはないかと思いまして、皆さんのボイトレや歌に関する相談を募集し、ブログで回答させていただきたいと思います。
→ボイトレ相談募集はこちらからどうぞ
例えば、
自分に合った練習方法を知りたい。
お腹から声を出す方法を教えてほしい。
○○のようなアーティスの声はどうやって出すの?
今習っているボイトレのことで疑問がある。
など、ボイトレのことで悩んでいる方、浅井のぞみに聞いてみたいことがあれば、匿名で結構ですので送ってください。
音声を聞いて欲しい方は、後ほど音声を送っていただくこともできます。
「喉に意識を向けると、気持ちよく歌えなくなる」のはどうしたらいいの?
さて、第1回目は、私のYoutubeチャンネル『舌骨発声ボイストレーニング』にいただいたコメントで、とても印象的だったものを誠に勝手ながら引用させていただきました。
コメントは削除されてしまいましたが、同じような悩みを持っている方も沢山いらっしゃると思うので綴らせていただきます。
それがとても嫌なのです。
相手に向けて表現して歌うよりもずっと自分の喉に意識を向けながら歌っている感じです。
それをずっとやっていたらとてもじゃないけど歌の本質からずれていました。
伝えるために歌うはずが科学の実験のような検証を繰り返す感覚でした。
かといってただ歌を楽しむことばかりの意識だと好き勝手歌っていて、自分の声が良くならないので、あまり気持ち良くありません。
この方を仮でMさんと呼ばせていただきますね。
Mさんは、今までボイストレーナーのレッスンを受けてきて、言われたことをしっかりできるようにと一生懸命に取り組んでこられたんですね。
そして、言われたことをできたかどうか反省したり、また練習をしたりを繰り返しながら、真面目に頑張ってこられたんだろうなと思います。
でも、いつしか「ボイストレーナー言われたことをするために歌う」という感じになってしまったんですね。
私も歌を始めてから20年くらい、そんな感じでした。
自分で歌ってて気持ちいいかどうかではなく、私にとって歌の練習は『修行』そのものでした。
気持ちよく、自分の歌いたいように歌いたいのに、先生に言われた通りに歌えているかどうかばっかり気にして、自分のダメ出しばかりしていました。
ボイストレーナーのレッスンを受ければ、声を大きく出す技術、低音から高音まで幅広く声を出す技術、弱い声・強い声・きれいな声など、色々と声を変化させる技術を教わることができます。
憧れの歌手と同じように、強弱をつける方法やしゃくる方法、ビブラートさせる方法などを、教えてもらうことができるでしょう。
しかし、その技術を教わる目的は、あなたが歌で自己表現・自己解放するための『幅を広げるため』です。
ボイストレーナーに教わっていることは、あくまでそのための手段です。
その人の声の可能性を、表現力を引き出すレッスンではなく、レッスンの指導内容が「アーティストのモノマネ方法を教わることばかり」になっていないかどうか。
自分の受けているレッスンを、一度振り返ってみるのもいいかもしれません。
日本では、自分らしい歌い方を見つけるより、「カラオケの採点でいかに高得点を取るか」「元のアーティストのように歌うか」に重きを置かれていることが多いです。
でも、それに違和感を持つなら、その通りにしなくていいと思いますよ。
ボイストレーナーが「生徒さんが気持ちよく声が出せているのか」、「その人が持っているその人らしい声の響き」を出せているのかについて気を配れているかも、とても重要です。
日本と海外との違い
Youtubeでカラオケ音源を検索すると、日本の音源は元の曲のイメージ通りのカラオケで作られることが殆どで、アレンジバージョンなんかほとんどないです。
反面、洋楽だと原曲はアップテンポのノリノリの曲でも、アコースティックバージョンのゆっくりテンポにアレンジしたカラオケなども作られています。
そのため、海外の「歌ってみた動画」は、自分の歌いやすいキーに変えて伴奏のアレンジも変えて、メロディーも変えて自分なりの歌い方でカバーしてYoutubeにアップしている人も多いのです。
自分の歌いたい曲があって、そのアーティストが優しいミックスボイスで歌っていいたとしても、自分は地声の強い声で歌ってもいいです。
逆に、元のアーティストが地声でパワフルに歌っていても、自分は優しい声でしっとり歌っても構わないのです。
そうやって、世界中の人が自分の好きなように気持ちよく歌っている姿を見ると、歌の歌い方、音楽の楽しみ方はいろいろあっていいと思えてきます。
私が20年やっていた声楽(クラシック)をやめて、洋楽を歌うようになったのも「自分の好きなように歌いやすい」ためです。
声楽は自分の声の良さを生かしながらも、伝統と作曲者の思いを忠実に再現することが求められるジャンルです。
声楽が思い通りに歌えなかったのは、私にはその歌を歌いこなすテクニックや才能が足りなかったからだと思います。
でも、私は自分の感情を表現しやすいジャンルに転向し、自分なりの歌い方を追求したことで、以前より歌うことが楽しくなりましたし、自分の歌声でいいんだと思えるようになりました。
たとえ音程がずれてても、声がひっくり返っても「思い切り歌えた!」「気持ちよく歌えた!」と思えているなら、極論レッスンになんか通わなくてもいいと思いますよ。
自分の求めるボイストレーナーとは?
ボイストレーナーとの向き合い方についてもお話させていただきますね。
もしかしたら、Mさんは、「ボイストレーナーに言われたことが忠実にできないとだめだ」と思ってしまうところがあるのかなと思います。
レッスンでは、「自分が表現したいことができるようになるための手段を教わっているだけ」なので、トレーナーが言っているのは「あくまでも提案」と、受け止めたらいかがでしょうか。
どんなに有名なボイストレーナーに教わったとしても、それのアドバイスを受け入れる受け入れないは、自分で決めていいのです。
ボイストレーナーにもいろいろな考え方や知識や技術を持っている方がいます。
①発声の技術を徹底的に指導するトレーナー
②「その人が持っているその人らしい声の響き」を引き出すトレーナー
③『自分の出したい感情』と『それを表現するための声の出し方』を教えてくれるボイストレーナー
③は、「切ない気持ちは、どんな声を出したら表現しやすいかな」「この気持ちが伝わりやすいやすい声はどんな出し方をしたらいいかな」と、一緒に考えてくれるトレーナーです。
今のMさんが、①でなく、②や③のタイプをを求めているなら、そういうボイストレーナーもいますので、ぜひ探してみてください。
テクニックを身につけながら、自己解放していく練習方法
自分でできる練習方法についてもお話しさせていただきますね。
「喉のことだけを考えて歌う時間」と、「喉のことは50%にして自分の思うままに歌う時間」と分けて練習時間を取るといいと思います。
喉のことを気にするのを50%に減らすときには、「自分の感情から湧き上がってきた声を、自由に出していいんだよ」、と自分にOKを出してみてください。
「自分の好き勝手に歌ってはダメだ」から、「自分のその時に感情を出せたらならそれでいい」
と、ありのままの自分を認めてください。
「ありのままの自分なんて嫌だ!もっといい声じゃなきゃダメなんだ!」と抵抗したくなるかもしれません。
でも、毎回一つでもいいから自分ができるようになったことを発見して、「良くなったね」と言ってみてください。
きっと、自分の歌の良さが段々見えてきて、自己解放しながら気持ちよく歌えるようになってくると思いますよ。
こちらのブログでも練習方法について少し説明していますので、良かったら参考にしてください。
→歌の表現力をつける方法
歌をもっと楽しみたい、気持ちよく歌えるようになりたい人を、心から応援しています!
浅井 のぞみ