「高い声が出ない」原因とは?

こんにちは、アンヴォーカルスクールの浅井です。

無料体験レッスンに来られた方には、声のお悩みに関するアンケートを書いていただき、「声が小さい」や「声がかれる」などの様々なチェック項目の中から該当するものを選んでいただいています。その中でも、ほとんどの方が「高い声が出ない」というところにチェックされているので、ボイストレーニングをしていく上での大きなテーマなんだなとつくづく感じています。

今回は、「高い声が出ない」ということについて的を絞ってお話していきたいと思います。

高い声が出るようになるためには、「口を開けて、喉はリラックス、腹筋は入れて」と言われることが多いですね。
本当にそれだけで出るようになれば、こんなに楽なことはない・・・と思うのですが。

そもそも、
「口はどうやったら開くの?」
「喉をリラックスってどういう感覚?」
「腹筋に力入れても、全身ガチガチになって声が出ない」
など、自分の身体が思うにならなくて困っている方も多いと思います。

やみくもに発声練習をするのではなく、しっかりと原因を探って、それに合った対処法を実践していくことが大切です!
自分がとこに当てはまるか考えてみましょう。

原因①:地声が強すぎる

喉の筋肉には、簡単に言うと、「地声の音色を出す筋肉」、「裏声の音色を出す筋肉」とがあります。
普段の話し声では、ほとんどの方が地声でしゃべっているので、大抵の方は地声を出す筋肉が強いです

広い音域の声を出せるようにするためには、声を出すために使われる筋肉を一箇所に負担をかからないように、まんべんなく使えるようにすることが必要です。
地声だけしか出ない方は、ずっと片足だけで立っているようなもので、地声の筋肉に過度に負担がかかっているのです。

裏声も地声と同じ声量でしっかり出せるようになると、不思議と地声を出すのも楽になってきます。

トレーニングの方法としては、
・地声を弱く出すエクササイズ
・裏声を強く出すエクササイズ
2つのトレーニングをする必要があります。

でも、「地声で高い声を出したいのに、地声が弱くなっても大丈夫?」と不安になる方もいらっしゃると思います。
よく言われる「ミックスボイス」も、地声を出している時に裏声の筋肉も使うというということで、考え方自体は同じです。
あとは、あなたの「裏声の練習をしていいのかな」という不安を手放すという気持ちも大切かもしれません。

「地声がどうしても大きくなってしまう、弱く出すことが苦手」という方は、原因②のトレーニングをやってみてくださいね。

原因②:声が息もれしている

「高い声がかすれる」という方も多いと思います。
このような方は、「地声(低音)の見直し」が必要です。

まずは、「地声で正しく声帯が閉鎖できているか」をチェックしてみましょう。

  1. 口を開けて、息をハーっと吐いてみます。
  2. 口を開けたまま、ピタッと息を止めてください。(腹筋は使わないで)
  3. 喉のあたりで、何か締まった感じがしたらOK(=声帯が閉まったということ)
  4. 締まった感じをキープしたまま、「アッアッ」と短く切りながら、声を出してみます。
    (特に力はいりません。なんとなく締まったくらいの力で十分です)

どうでしょうか?
ザラザラとむせた感じにならずに声が出せましたか?

はっきりしたクリアな声、もしくはちょっとダミ声に近い感じで出せた方は、「息漏れ」をしないで声を出せた方です。
喉仏を触ると、振動が感じられます。

声がザラザラとして、出しにくかった方は息漏れしている可能性が高いです。
普段から「声が通らない」と感じたり、「声が小さい」と感じることが多いのではないでしょうか?

『声帯を軽く閉じる筋力』がついてくると、「声帯を薄く引き伸ばす」という動作がしやすくなり、地声でも音域が伸びたり、裏声を出すことができるようになります。


効果的なトレーニングの方法

  1. 先ほどの「正しく声帯が閉鎖できているか」のチェック方法と同じように、「口を開けたまま息を止める」を繰り返します。
  2. 息を止めたまま声を出します。
    「エッエッ」と小さく短く切るようにしてください。
  3. 音程をどんどん高くしていき、苦しくなったら更に小さい声で出すようにします。
    最初は息が漏れて、「エ」ではなく、「ヘ」になってしまうこともあるかもしれませんが、できるだけ短く切るようにだして、息の混じっていない声を意識して出します。

    この練習を毎日繰り返すようにしていくと、地声が弱まり、だんだんと声が軽くなり、高い音も出しやすくなります。

↓こちらの動画でも練習方法をご紹介しています。

原因③:喉が詰まっている

高い声を出そうとすると、喉が詰まって苦しくなる。

そのような方は、喉仏とあごの間にある舌骨という部分が上にあがっています。

舌骨が上にあがると、声道が狭くなり、喉が苦しいと感じます。
舌骨を下げられるようになれば、高音になっても苦しさを感じることがなく、どんな高い音でも喉を開いたという感覚を持ち続けることができます。

更に、咽頭共鳴腔のスペースが保たれ、大きい声を出そうとしなくても響きで大きい声量を出すことができます。
当スクールで舌骨を下げるトレーニングをした生徒さんは、男性ではhiⅭの音まで地声感のある声で歌えるようになっています。

 

原因④:舌を下げすぎている

一般的には、「舌を下げるように」という発声指導をしているところが多いと思います。

舌を下げると、確かに舌骨は一緒に下がりやすいので、喉の詰まり感が強い人には一時的には効果が出るでしょう。
しかし、舌を下げる意識を持っている方は、声が後ろに引いている、こもっている声になってしまっている方も多いです。

それは、舌を下げると、口から息が漏れて鼻腔にも声が抜けにくくなるため、声の響きが悪くなるからです。
また、舌を下げることをやりすぎることで、舌が喉頭蓋を圧迫してしまい、逆に喉が開かないということが起きていることもあります。
舌を上げて歌うことを心がけていくと、声の重さ、こもった感じが取れて高い声が出しやすくなります。
ただし!これは、舌骨が下がっていることが前提です!!

舌骨が下がっていないまま、舌だけを上げると喉の詰まりが強くなりますので、原因③のトレーンニング方法を先に行ってくださいね。
舌骨と舌は、最初はどうしても一緒に動いてしまうので、『舌骨は下げて、舌は上げる』のトレーニングするには、時間をかけてゆっくり練習することが必要です。

慣れてくるとそれぞれ別の動きもできるようになりますので、気長に練習してくださいね。

◆舌のことについては、こちらのブログでも詳しく解説しています。
☞「高い声を出すには、舌の動きをマスターせよ!」

原因⑤:喉仏、舌骨、顎が後ろに引っ張られている

「上の4つの対処法を試してみたけど声が全く出るようにならない」
「書かれていることをやろうとしたけど、全然舌骨や筋肉が動かない、わからない」
という方も、中にはいらっしゃると思います。

そんな方は、実は練習をする以前に身体の準備ができていないかもしれません!

首や肩にコリを感じている方は、そこをほぐすことから始めないと、いくら練習しても効果が出ないなんていうこともあります。
練習効率をアップさせるためにも、一度自分の身体をチェックしてみましょう。

1.喉仏が奥に入ってないか?

では、片手で喉仏を持って横に揺らしてみてください。
横にゆらゆらさせて、もしゴリゴリ音がするようなら喉仏が後ろ(首の方向)に入り気味です。

喉仏を少し手前に引っ張りながら声を出すと、喉の詰まりが楽になるかもしれません。

2.舌骨が上がってないか?

舌骨とあごの間を触ってみましょう。
そこに痛みや硬さがあるようなら、舌の根元(舌根)や舌骨を上げる筋肉が硬く縮まっています。

それによって、舌骨が上にあがりやすくなったり、奥(首の方向)に入ってしまうので、声を出すと喉が苦しくなりやすいです。
この筋肉がもっと緩むと、舌骨がもっと下がり高音でも、喉が楽になります。

3.顎が後ろに開いてないか?

口を大きく開けたときに、顎が後ろに入っていませんか?

口を開けたときに、写真のようにあごのラインが斜めになっている人は、喉仏や舌骨が後ろに押されて、喉が詰まってしまっている可能性があります。

このようになりやすい方は、耳の下のへこんでいるところを、よくマッサージしてください。
この筋肉がもっと緩むと、下あごが前に出て舌骨も前下方にいきやすくなります。

また、意識的に顎をしゃくるように口を開けて、顎のラインがまっすぐになるようにしてみましょう。

この口の形だけで高音が出るようになった生徒さんもいますよ!
顎が前にいくと頬や軟口蓋もあがりやすくなり、声の抜けもよくなります。

4.首が前に出ていないか?

ストレートネックや、スマホ首にはなっていませんか?


首が前に出ていることでも、舌骨や喉仏が奥に入ってしまいます。

首を後ろに固定できるように筋肉をつける必要があります。
(先ほどのように、顎をしゃくったとしても、首は後ろです!)

首を後ろにキープできるようになるには、下の写真にある、「壁押しのエクササイズ」がおススメです!

腹筋に力を入れてへこませながら、手は壁を押します。
自然と首が後ろに行くと思いますので、この姿勢のまま歌ってみてもいいですよ。

あなたはどれに当てはまっていましたか?

「もしかしてそうかも」と思うこともあれば、「うーん、よくわからない」ということもあったかもしれません。
首、顎、喉仏などは、自分の身体を触ったり、鏡を見たりすればわかるかと思うので、そこから直していくだけでも声は変わっていきますよ。

当スクールのレッスンでは、「自分の喉を触りながら声を出す」という独自の方法でレッスンを行っています。

それによって、「声がなんとなく出るようになった」のではなく、「喉を自分で操作して出す」という感覚が覚えられます。

姿勢を正しく取るのも自分。
出したい声を決めるのも自分です。

最終的には、自分が歌で表現したいこと、自分の出したい声で歌うことが、本当の歌の楽しさなのかなと思っています。

そのためのボイストレーニングという考え方で、自分の身体に合った発声トレーニングをカスタマイズしていくことが大切なんですね。

◆このブログを書いた浅井のぞみのレッスンを受けてみたいという方はこちら


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ボイストレーナー 浅井 のぞみ

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