「喉が締まるから、力を抜く」それって正解?

こんにちは、アンヴォ―カル・ピアノスクールの浅井です。
久々の更新になってしまいました。

8月は、20件近くの生徒さんの体験レッスンをやらせていただきまして、大分忙しくしておりました。
夏休み限定のレッスンの多数のお申込みありがとうございました。

新しい生徒さんのレッスンをやらせていただく機会が多いと、色んな声になりたい人がいて、同じアドバイスをしても色んな受け止め方があり、それぞれの方がわかる伝え方ができようにすることの難しさ、重要性を改めて痛感します。
ましてや、今はオンラインが多いので、そこでの聴こえ方や伝え方も神経を使いながら、勉強させてもらっている毎日です。



さて、今回のテーマは
 「喉が締まるから、力を抜く」それって正解?  です。

一瞬、「はあ??そりゃそうでしょ」と思う方も多いかと思います。

喉の力が入るから、抜く。
リラックスしないと・・・
それって当たり前でしょう?って。

では、のどが締まってるから、力が入るっていうのは、
「ダラーンと力を抜けば、喉が開いて楽に声が出る」ってことでしょうか?
それで本当に力強い声が出せるのか・・・・

ドンドン突き詰めていくと、よくわからなくなってきましたね。

ところで、喉ってどこのこと?

では、皆さんは喉といわれてどこをイメージしますか?

・ごっくんとするあたり?

・あごのすぐ下?
・声が出る辺り?
・口の奥?
・首の付け根辺り?

色んな人が色んなイメージを持つと思いますが、こう考えてみると意外と幅が広いですね。

また、「喉」というと、口の下から首の付け根の範囲全体をイメージされる方も多いと思います。



本当は、「喉」は、舌骨・甲状軟骨・輪状軟骨
という骨や、声帯・喉頭蓋・軟口蓋と、それらを結ぶ筋肉と神経が集合したもので、
 一つの「塊」ではない のです。


喉にある筋肉は、それぞれ別の役割、バラバラの動きをしていて、沢山の歯車が絡み合って声の音色や音程を変えています。
ですから、喉を一つの塊としてイメージして、全部をだらーんと力を抜いてしまうと、当然声が出なくなってしまうのです。

大切なのは、力を分散させること

たとえば、「このジャガイモが30個入ったビニール袋を運んでください」と言われたとします。

そのジャガイモが入った袋を、ずっと同じ手で持っていると、そのうち手が赤くなってきて、疲れて持てなくなってしまいますね。
その場合には、持ち手を変える両手で持つのではないかと思います。


でも、両手共に力を抜いてしまえば、ジャガイモは運べませんね。


声の場合も、喉が苦しいと思った時には、 ある筋肉に負荷がかかりすぎてしまっているため なので、その場合には、のどの別の筋肉を使うようにするべきなのです。
そして、全部をだらーんと力抜いたら、上手く出なくなってしまいます。

先ほどのジャガイモも、ビニール袋よりリュックに移し替えて、両肩に体重をかけて運んだら更に楽になります。

喉の筋肉も、同じ筋肉ばかり使わないようにして、力を分散させるということが大切です。

上手く力が分散できた時には、結果として楽なので「力が抜けた」という感覚になると思います。
でも、それは使うべきところが使われて、負担がかかっていたところが抜けただけで、どこにも力が加わっていないのとは違います。

 喉に力が入るから、「ダラーンと脱力すればいい」という簡単なことじゃないのです。 


大切なのは、「喉が締まっている」と思った時に、「喉のどこに負担がかかっている?」という、視点を持つことです。

(下のイラストに描いてある筋肉も、ぜーんぶ喉の一部です。
こんなに沢山の部分が関わっていたなんて・・・気が遠くなりそうですね。)

 

のどが締まる症状とその解決方法

では、「喉のどこが締まっていて、どうすればいいのか」を具体的に考えていきましょう。

下記の中で、あなたにあてはまる症状はありますか?
自分に合った練習方法で、楽に歌える喉に変えていきましょう!!

①高い音になると詰まって出なくなる

  原因:軟口蓋の上がっていないから 

 軟口蓋が上がり続けていると、声が頭に突き抜けるような感覚になり、高音での詰まりがなくなります。

 ☞軟口蓋を上げるトレーニング方法は、こちらをご覧ください。 


②低音・中音でも、ずっと喉が閉まっている感じがする

  原因:舌骨が下がっていないから 

 舌骨が下げられるようになると、特に低音・中音は、ずっと喉が開いている感覚があり、声量が増え、太く深く響く声になります。
 
 また、地声から裏声へのひっくり返りが起こりにくくなります。

 ☞喉を開く練習方法については、こちらをご覧ください。

③とにかく声が出ない(ガラガラ、ガサガサする)

 原因:首の筋肉が硬く、喉仏や舌骨が埋まっている 

姿勢の悪さや声の出し方のクセによって、首の筋肉は硬くなってしまい、喉仏や舌骨が柔軟に動きません。
首や肩こりが強いままで発声練習をしても、声のコントロールが上手くできないので、まずは、筋肉を柔らかくするマッサージをしてから練習することを、心がけてください。

下記画像の赤のラインが硬くないか、よくチェックしてください。
 この赤のラインが硬いと、声は出にくいです。  日ごろから硬くならないように、よくほぐすように心がけてください。

青のラインは咬筋と言って、 顎関節症の方・食いしばりや歯ぎしりの多い方は硬くなりやすい部分です。  ここが硬いと、口が開きにくく、軟口蓋も上がりにくいのでよくほぐしてください。

喉の「力み」とは?

「力む」=筋肉が硬くなる
ということです。

そもそも姿勢が悪く、硬いなら柔らかく使えるようにほぐす。
声を出すときに硬くならないように、緩める意識をする。

それをしないと、「喉の力ぬく」ということはできません。

歌う前のマッサージやストレッチも、とても大切です。

上記のように、やわらかくほぐしてから、弱い筋肉が働くようになるための練習をしましょう。

舌骨は下げ、喉仏は自由に動くように

喉仏は、四方八方に筋肉でつられていて、 どこか一つが引っ張る力が強くなると、筋力バランスが悪くなり苦しくなります。 

喉仏が上下に拮抗して釣り合うように、喉仏を上げる筋肉と下げる筋肉の両方をトレーニングすることが大切です。

「明るい声を出したい」「太い声を出したい」「強い声を出したい」「カッコいい声を出したい」など、
 声は、喉仏周りの筋肉の力バランスを変えることで、自分の出したい音色が出せるようになります。 


●声が低い太い人には・・・

喉仏を下げる筋肉が強くなりがちなので、上げる筋肉(甲状舌骨筋)を強める練習をしましょう。


●声が平べったいキンキン声の人には・・・

舌骨や喉仏を下げる筋肉が弱いので、しっかり下げる練習をしていきましょう。

まとめ

「喉が詰まるから、ダラーンと力抜く」「リラ~ックス」をすればいいということではなく、硬い筋肉をほぐし、弱い筋肉を強化するということ。

 そのためには、「どこが硬いか?」と、「どこが弱いか」を知ることが大切ですよ~というお話でした。  ちょっと難しいなあ・・・と思った方もいらっしゃるかも知れません。

自分では「何をどうすればいいか」を見つけるのはとても難しいことですが、それがわかればどなたでもまだまだ声が変わるチャンスはあるということです!!

コロナ禍の中、パソコンに触れる機会が多く、姿勢が悪くなったり、肩が凝ったりする場合も多いと思います。
そのせいで、舌が顎が硬くなって声が出にくくなってしまいます。

そんな今だからからこそ、ボイストレーニングを受けて、自分の声が錆びつかないように、きちんとケアしながら伸ばしていきましょう!!

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