「低い声の上手な出し方」とは?

男性がマイクを持って歌っています。

アンヴォ―カル・ピアノスクールの浅井のぞみです。
6月20日にコロナ禍の中の発表会が終わりまして、一息ついたところです。

最近では、私のブログがわかりやすいというお声をチラチラいただいておりまして、ありがとうございます!
引き続き、発声に関する情報を皆様へ提供できればと思います。

今回のテーマの「低い声の上手な出し方とは?」ですが、みなさんの声に関する悩みを聞いていると、低い声の出し方について悩んでいる方が意外と多くいらっしゃいます。

低い声の悩みといってもいろいろあるので、まずはそれらを一つ一つ取り上げてみましょう。

低い声に関するよくある悩み

A.低い声が汚い。

  なんだか嫌な表現で書いてしまいましたが、「汚い低い声」ってどんな声なんでしょうね。
  潰れたような声、ガラガラした声、息が混じったガサガサした声ってところでしょうか。
 
  声が汚く感じる原因は、舌の位置が前に出すぎて、舌骨が上がってしまっていることが多いです。
  舌骨が上がると、喉の響きの空間が狭くなり、つぶれたような声になります。

このようなタイプの方が歌うと、高音で喉が詰まりやすいです。

☞『舌骨』をご存じない方は、「舌骨発声ボイストレーニングとは?」のページで説明していますのでご覧ください。

   
B.低音がこもる。

このような方は舌が奥の下方向に落ちているかと思います。
 そのせいで、喉仏が下がりすぎてしまったり、後ろに引っ込んでしまう傾向にあります。

声帯閉鎖がしずらく、モヤっとした声になりがちです。
このようなタイプの方が歌うと、高音ではひっくり返りやすいです。


C.とにかく低い音が出ない。

  上の二つは、低い声は出るけど音色がイマイチというタイプですが、このタイプは低音がそもそも出ないというタイプです。
声が鳴らず、息だけになってしまうことが多いようです。

  「低い声を出そう出そう」と喉仏や舌を落としすぎて、発声しがちです。

  このようなタイプの方が歌うと、高い声は簡単に出ることが多いです。

D.低い声がうるさすぎる、重すぎる。

  3のタイプと真逆で、声帯が分厚く、元々の声が大きい方が多いです。
  4と1とのタイプの混合や、4と2のタイプの混合の方もいらっしゃいます。

声帯の閉鎖が強すぎたり、低音で声帯を厚く使いすぎるとこのような声になります。

  このような方が歌うと、すぐ疲れたり、声が枯れたりしやすいです。

1.低音の練習方法

まずは声帯閉鎖の練習が大切

低音を力まずにきれいに出すには、声帯を閉じる感覚を掴むことが大切です。

大雑把に説明しますと、肺から上がってきた空気は気管を通り、声帯で受け止めて声になります。
声帯を閉じる力が弱すぎると、息を受け止め切れないので、ため息のような小さい声やかすれ声になります。

「とにかく低音が出ない」「低音がこもる」というタイプの方は、「声帯を閉じる」力が足りなさすぎることが多いです。

逆に、「低音が汚い」「低音がうるさすぎる、重い」タイプの方は、「声帯を閉じる」力が強すぎることが多いです。

「喉を使ってはいけない」と、「お腹から声を出さないといけない」という考え方は一回忘れていただいて・・・
『声帯だけ』を動かす感覚を身につけていきましょう!

声帯閉鎖の練習方法

①口を開けたまま、ハーと息を吐きます。

②口を開けたまま、急に息を止めます。

 それを何回か繰り返してください。

③喉で少しキュッとした感じがしたらOKです。 

 それが「声帯を閉じる」という感覚です。

④声帯が閉じたと思ったら、そのまま「ア」とつぶやいてください。
B・Cタイプの方は、声を出すときに息を吐かないようにして、普通くらいの音量で出してください。

A・Dタイプの方は、小さい声でつぶやく程度で十分です。


注意したいことは、この時に「声帯閉じなきゃ」と、特に力を入れる必要はありません!
息を止めようとした時に、本来無意識でやっていることなので、「声帯が閉じる感覚ってこんな感じなんだな」と確認することが大事です。

声はお腹ではなく、声帯から出ます。

声帯閉鎖は、声を出すうえでの最も大切な感覚なので、是非いつも意識してください。

 

2.『舌』で声の音色を変えよう!

さきほどの「声帯を閉鎖する」という練習が基本となりますが、明るい声、太い声、軽い声、きれいな声などの音色はどうすれば変えられるのでしょうか?

まず、声の音色を変えるのは、おおまかに2つです。
声の明るさに関係するのは、軟口蓋です。

声を軽さや太さ
に関係するのは、喉仏です。

どんな声を出しても、喉の開きをキープするには舌骨の安定が不可欠です

声の音色は、喉仏を上げたり下げたり、軟口蓋の位置を上げたりすると、太くしたり明るくしたりと変化させることができます。

しかし、姿勢が崩れたり、言葉をしゃべると舌が動きます。
その結果、喉仏や軟口蓋の位置が変わり、発声が崩れてしまいます。

では、どうして舌が動くと、軟口蓋や喉仏が一緒に動いてしまうのでしょうか?
下記のイラストを見て分かるように、舌を中心にして舌骨、軟口蓋は鎖のように繋がっているためです。

イラストにはありませんが、舌骨の下には喉仏が筋肉で繋がっていていますので、舌が動くと喉仏も一緒に動いてしまいます。

つまり、「軟口蓋や喉仏・舌骨とともに、舌のポジションも同時に考えていかないと発声は崩れる」ということです。
軟口蓋や喉仏・舌骨の位置を崩さない「舌のポジション」を練習すると、とても楽に響く低音が手に入ります!!

それでは、続いて声のタイプ別に合わせた舌のポジションを見ていきましょう。

A.低い声が汚い

舌が歯の裏についていないでしょうか?
舌が前にいきすぎることで、舌骨と喉仏が上がって、声がひらべったくなります。

ストローを吸うように息を吸い込んで、舌が歯に当たらないよう、後ろへひっこめながら発声練習をしましょう。

また、人差し指を第一関節まで軽く噛み、舌が指に当たらないようにしながらアイウエオなどいう練習をしてましょう。

この状態でイやエも母音を言うと、普段より舌がかなり後ろにいくのがわかると思います。
また、子音をつけたとき、タチツテトやサシスセソで指が当たらないように気を付けてみてください。

この練習をすることで声が軟らかくなり、詰まりが取れた感じがすると思います。

声がこもってしまった場合は、これに「軟口蓋を上げる練習」をプラスしていくことで、クリアな声になります。

B.低音がこもる

舌の根元が下に落ちすぎてることが、声がこもる原因です。
舌全体を上げるように、声を出しましょう。

母音で言えば、エの母音が舌が落ちにくいです。

ネネネネやケケケケなど、舌が上がりやすい発音で発声練習をしましょう。

舌を下から指で支えながら発音すると、声の明るさの違いが実感できると思います!


出来る方はさらに、舌が前に行き過ぎないようにしながら、舌の後ろ部分を上げるように声を出してみましょう。
それによって軟口蓋もあがり、高音も出しやすくなりますよ。

C.とにかく低い音が出ない。

低音の音域がないという方も、Aと同じ舌の位置が前すぎている場合が多いのです。Aと同じで指を嚙みながら、舌が指に当たらないように少し引っ込めながら発声練習をしてください。

そうすると、喉仏や舌骨の位置がちょうどいいところへきて、響きのある声が出てくるようになります。

また、「低い声が出ないから前に前に」という意識で、声出なく息が出てしまっている方も少なくありません。

小さい声でいいので、息漏れしないように声帯の閉鎖する感覚をしっかり身につけるようにしましょう。

D.低い声がうるさすぎる・重すぎる。

声が重い方は、初めに書いた声帯閉鎖の練習を小さい声でやり、高い音から下りてきてくる練習をするといいですよ。

高い音から低い音へ、ケッケッケッケッで下がってきます。

そのときのポイントは、頬を上げて下あごが下がらないように「ケ」と言うこと。

低い声で急に大きくならないように気を付けること、息を吐かないようにしながら、
高い声と同じ音量で出すことを心がけましょう。

低い声から高い声へ出していくときも同様に、低い声は小さめの声から始めて、声帯を軽く閉鎖していることを確認しながら高い声へいきましょう。

そうすることで声帯が薄くなり、軽くて鋭い声が出るようになります。
喉仏は、無理に上げようとか下げようとしないで大丈夫です。

 


いかがでしたでしょうか?
あなたと同じで、低音の悩みを持っている方も意外と多いんです。

それぞれの声の特徴に合わせた解決方法を探っていくと、すぐ変わっていきます!
英語の発音もその母音や子音に合った舌の位置で声を出していくことをすれば、よくなっていきます。

もし、実際にレッスンを受けてみたいと思った方は、まずは体験レッスンにお越しください。

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ボイストレーナー 浅井 のぞみ

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